セクション 1 — ある若手弁護士の物語
ソウルの法科大学院を優秀な成績で卒業したイ・ミンホさんは、期待に胸を膨らませて中堅の「ハヌル法律事務所」に入所しました。最初の数年間は「アソシエイト弁護士」として、代表弁護士から指示された案件を黙々とこなす日々でした。3年が経ったある日、代表はミンホさんにこう言いました。「君ももう一人前だ。これからは事務所の『構成員弁護士』として登記しよう。ステータスも上がるぞ」。
ミンホさんは、ついに自分も経営陣の一翼を担う「パートナー」になれるのだと喜び、言われるままに書類に署名しました。しかし、登記が変わっても彼の日常は何も変わりませんでした。依然として自分の判断で事件を受任することはほとんどなく、代表が割り振った仕事をこなし、毎月決まった額の給与を受け取るだけ。事務所の経営会議に呼ばれることも、利益の分配を受けることもありませんでした。
数年後、ミンホさんは独立を決意し、退職の意向を伝えました。そして、当然支払われるものと思っていた「退職金」を請求したところ、事務所側は冷淡に答えました。「君は登記された『構成員(パートナー)』、つまり経営者側だ。労働者ではないのだから、退職金を支払う法的義務はない」。ミンホさんは呆然と立ち尽くしました。
セクション 2 — 法的な争点
このストーリーにおける核心的な問いは、「法的に『構成員弁護士(パートナー)』として登記されている者が、労働基準法上の『労働者』として認められ、退職金を受け取ることができるのか」という点です。
セクション 3 — 韓国法が定める「労働者」の定義
韓国の労働基準法において、労働者であるかどうかの判断は、契約の形式(雇用契約か委任契約か)や肩書きよりも、その実態が重要視されます。
労働基準法上の労働者性判断のポイント:1. 業務の内容が使用者によって決定されているか。2. 就業規則や人事規定の適用を受け、業務遂行の過程で直接的な指揮命令を受けているか。3. 勤務の時間と場所が指定され、それに拘束されているか。4. 報酬が労働の対価としての性格を持っているか(固定給か)。
たとえ「パートナー」という名称であっても、実際には事務所の所有権を持たず、損失を負担することもなく、ただ指示された業務を遂行して報酬を得ているのであれば、法律上は「労働者」とみなされる可能性が高くなります。
セクション 4 — 韓国裁判所の判断基準
韓国の大法院(最高裁)は、弁護士の労働者性について非常に明確な基準を示しています。裁判所は、形式的に構成員として登記されていたとしても、以下の事情がある場合には労働者性を認めます。
- 構成員として登記・脱退する過程で、持分の譲受や譲渡(出資)が行われていないこと。
- 構成員登記の前後で、勤務形態や業務内容に大きな変化がないこと。
- 事務所の利益配分を受けたり、逆に損失を負担したりした事実がないこと。
- 受任件数に関わらず、毎月一定額の給与を受け取っていること。
- 自身の判断で事件を受任するケースがほとんどなく、割り振られた業務を処理していること。
セクション 5 — ミンホさんのケースへの適用
ミンホさんの状況を整理してみましょう。彼は「構成員」という肩書きは得ましたが、実際には出資を行っておらず、利益配分も受けていません。毎月の給与は固定されており、仕事の内容も代表弁護士の指示に従う従属的なものでした。また、彼は自分が登記された事実すら、退職間際まで正確に把握していなかった可能性もあります。
韓国の判例(大法院 2012. 12. 13. 宣告 2012ダ77006 判決など)に基づけば、ミンホさんは「賃金を目的として従属的な関係で労働を提供した労働者」に該当します。したがって、ハヌル法律事務所は、ミンホさんが「構成員」であった期間も含め、全期間に対する退職金を支払う義務があります。
セクション 6 — 結論:ミンホさんの結末と読者へのアドバイス
最終的に、ミンホさんは法的な手続きを通じて労働者性を認められ、正当な退職金を勝ち取ることができました。肩書きが「パートナー」や「理事」であっても、実態が伴わなければそれは単なる「名ばかり役員」に過ぎないということが証明されたのです。
もし、あなたも同じような状況にあるなら、以下のアドバイスを参考にしてください:
- 肩書きに惑わされない: 「役員になったから労働法は適用されない」という会社の言葉を鵜呑みにせず、自分の実態(出資の有無、指揮命令の有無)を確認してください。
- 証拠を確保する: 固定給の給与明細、業務指示の内容がわかるメール、出退勤の記録などは、労働者性を証明する重要な証拠になります。
- 専門家に相談する: 特に専門職の雇用関係は複雑です。早い段階で労働専門の弁護士や公認労務士に相談することをお勧めします。
法は「名前」ではなく「真実」の味方です。正当な権利をあきらめないでください。




















