1. 現場のリーダー、朴さんの戸惑い

未来テックの熟練工として15年間勤務してきた朴相勲(パク・サンフン)さんは、2年前から労働組合の「専従者」として活動しています。専従者とは、本来の工場での業務を離れ、組合活動にのみ専念する役割のことです。朴さんは現場を離れていても、会社の一員であることに変わりはないと信じ、組合員のために日々奔走してきました。

しかし、先月起きた大規模なストライキが事態を一変させました。1ヶ月にわたる争議行為の結果、会社側はストライキに参加した一般組合員だけでなく、専従者である朴さんに対しても、その期間中の「専従者手当」を一切支払わないと通告したのです。朴さんは困惑しました。「自分はもともと現場作業をしていないのだから、ストライキ中も変わらず組合の仕事をしていた。それなのに給与がカットされるのはおかしいのではないか?」

2. 法的な問い

このケースにおける核心的な問いは、「労働組合専従者」が労働契約においてどのような法的地位にあるのか、そしてストライキ期間中、使用者は専従者に対して給与を支払う義務があるのかという点です。

3. 韓国の法律が定める専従者の地位

韓国の法律および判例において、労働組合専従者の地位は以下のように定義されています。

労働組合専従者は、使用者に対して労働契約上の身分を維持するものの、労働提供義務が免除されます。一方で、使用者もまた賃金支払義務を免除されるという点で、実質的に「休職状態」にある労働者と類似した地位にあります。

主な原則は以下の通りです:

  • 労働提供の免除: 専従者は本来の業務に従事する義務がありません。
  • ノーワーク・ノーペイの原則: 労働を提供しないため、原則として使用者には賃金支払義務がありません。
  • 手当の性格: 団体協約に基づき専従者に一定の金額が支払われている場合でも、それは「労働の対価」としての賃金とは見なされません。

4. 韓国裁判所の判断基準

韓国の最高裁判所は、ストライキ期間中の専従者への給与支払について、一律の基準ではなく「個別的な判断」を重視しています(最高裁2011.2.10.宣告 2010ド10721判決)。

裁判所は、ストライキ期間中に使用者が給与支払義務を負うかどうかを判断する際、以下の要素を総合的に考慮します:

  1. 当該事業場の団体協約の具体的な文言
  2. 労使間の合意内容
  3. 過去に同様の状況で給与が支払われていたかという労使慣行

単に「専従者だから」という理由だけで、いかなる状況下でも給与が保障されるわけではないというのが裁判所のスタンスです。

5. 朴さんのケースへの適用

朴さんの状況を整理してみましょう。朴さんは専従者として現場での労働を免除されていますが、これは法的側面から見れば「休職」に近い状態です。会社が彼に支払っていた手当は、労働に対する報酬(賃金)ではなく、組合活動を支援するための特別な性格の金員といえます。

ストライキ期間中、一般の労働者が労働を停止して賃金を受け取れないのと同様に、専従者もまた、その期間中の支払義務が当然に発生するわけではありません。朴さんの主張する「自分は組合の仕事を続けていた」という事実は、使用者に対する「労働の提供」には当たらないため、会社側が支払を拒否すること自体は法的に可能です。ただし、未来テックの団体協約に「争議行為中も専従者の手当は全額支給する」といった明文規定がある場合や、過去のストライキでも支払われてきた明確な慣行がある場合に限り、朴さんは支払を請求できます。

6. 結論:朴さんのその後とアドバイス

結局、未来テックの団体協約には争議中の給与補償に関する条項がなかったため、朴さんはストライキ期間中の手当を受け取ることができませんでした。裁判所も、専従者の法的地位は「労働免除」であっても「無条件の有給」を意味するものではないとの判断を維持しました。

同じような状況にある方々へ、以下の2つのアドバイスを贈ります:

  • 団体協約を詳細にチェックすること: 専従者の処遇、特に紛争時の給与支払については、法律よりも「労使間の合意(団体協約)」が優先されるケースが多いです。曖昧な表現を避け、具体的な支給条件を明文化しておくことが重要です。
  • 「賃金」と「手当」の区別を理解すること: 専従者に支払われる金員は、多くの場合、労働基準法上の「賃金」としての保護をフルに受けられない可能性があります。自らの活動が法的にどう定義されているかを事前に把握しておくことが、予期せぬ不利益を防ぐ第一歩となります。

法的トラブルを未然に防ぐためには、専門家のアドバイスを受けながら、明確な労使合意を形成しておくことが不可欠です。