1 — 人間の物語
2013年、会社員のキム・ジウンは、姦通罪で起訴され、刑事裁判を受けていました。法廷で争われているのは、私生活上の行為が罪に当たるかどうかだけではありません。ジウンは、刑法第241条そのものが憲法に反するのではないかと考え、裁判所に憲法裁判所への審査提請を申し立てました。
ところが、同じ条文については、過去にすでに合憲とする判断が出ていました。弁護人は、社会の価値観も人々の生活も変化している以上、以前の判断だけで議論を閉じるべきではないと主張します。ジウンが知りたいのは、裁判所がその問いをもう一度、憲法裁判所に届けられるかどうかでした。
2 — 法律上の問い
ある法律が憲法裁判所によって一度合憲と判断された場合、その判断は、後の裁判所による違憲審査の提請を妨げるのでしょうか。さらに、被告人が提請を申し立てたとき、裁判所はどのような点を検討しなければならないのでしょうか。
3 — 韓国法が定めること
韓国の違憲法律審判は、具体的な裁判で適用される法律の憲法適合性を、憲法裁判所に判断してもらう仕組みです。法律が合憲とされたことがあるとしても、それだけで将来の審査が一律に封じられるわけではありません。
過去の合憲判断がある法律についても、裁判所が改めて違憲審査を提請することは可能です。合憲判断は、後の提請を当然に排除する効力を持つものではありません。
ただし、再提請できることは、裁判所が自由に法律を無効扱いできるという意味ではありません。重要な区別は次のとおりです。
- 最終的な違憲判断をするのは憲法裁判所です。通常の裁判所は、法律を自ら違憲と宣言して適用を拒むことはできません。
- 提請の対象となる法律が、目の前の事件の結論に関係していなければなりません。事件と無関係な法律の抽象的な審査を求める制度ではないからです。
- 被告人が申し立てても、裁判所が必ず提請しなければならないわけではありません。裁判所は、法律が事件に適用されるか、憲法上の疑問に理由があるかを検討します。
- 同じ裁判手続の同じ審級で、すでに同一の憲法問題について憲法裁判所の判断を受けた後に、同じ提請を繰り返すことはできません。
「過去に合憲判断があるため再提請できない」ということと、「同じ手続で一度判断を受けた問題を繰り返し提請できない」ということは、別の話です。
提請がなされると、原則として憲法裁判所の判断が出るまで、関連する裁判手続は停止されます。憲法裁判所への提請は、法律の憲法適合性を裁判の中で判断してもらうための手続であり、申立てをしただけで被告人が無罪になるわけではありません。
4 — 韓国の裁判所はどう考えるか
韓国の憲法裁判所は、過去に合憲とされた法律についても、後の事件で違憲審査を求める提請を適法なものとして認めてきました。その背景には、合憲判断を将来にわたって絶対的なものとすると、社会状況や憲法解釈の変化を反映する機会が失われかねないという考え方があります。
一方で、通常裁判所による提請は、具体的な事件の解決に必要な場合に限られます。裁判所は、以前の判断を無視して法律を違憲と扱うのではなく、疑問があるなら憲法裁判所に判断を委ねなければなりません。また、同一の裁判手続で同じ問題についてすでに判断が下されている場合には、繰り返しの提請を避ける必要があります。
つまり、過去の合憲判断は新たな審査の入口を閉ざさない一方、法律の効力をその場で覆す権限を通常裁判所に与えるものでもありません。
5 — ジウンの事件に当てはめる
まず、刑法第241条は、ジウンの起訴内容を判断するために適用される法律です。したがって、その憲法適合性は、刑事裁判の結論に直接関係します。事件と無関係な法律について意見を求める申立てとは異なります。
次に、過去に合憲判断があったという事情だけでは、提請を拒む理由になりません。裁判所は、以前の判断を踏まえつつ、ジウンの主張に憲法上検討すべき点があるかを判断できます。社会の変化や権利に対する理解の変化も、新たな審査を求める理由となり得ます。
ただし、ジウンの申立てがあったからといって、裁判所が自動的に提請するわけではありません。裁判所が、刑法第241条は事件に適用され、憲法上の疑問にも検討の余地があると判断することが必要です。そして、違憲かどうかを決めるのは、あくまで憲法裁判所です。
この想定では、担当裁判所は過去の合憲判断だけを理由に申立てを退けず、事件との関連性と憲法上の疑問を認め、憲法裁判所に提請します。その結果、憲法裁判所の判断が出るまで、刑事裁判は原則として停止されます。ここで解決するのは、再提請が許されるかという手続上の問題であり、提請が認められたこと自体が、ジウンの有罪・無罪を決めるわけではありません。
6 — 結論:何が起きたのか、どうすべきか
ジウンの事件では、以前に合憲判断があったという理由だけで、憲法審査への道が閉ざされることはありません。担当裁判所が事件との関連性と憲法上の疑問を認めれば、改めて提請できます。ただし、法律を違憲と判断する権限は憲法裁判所にあり、同じ手続で同じ問題についてすでに判断が出た後の反復提請は認められません。
なお、刑法第241条の姦通罪は、2015年に韓国の憲法裁判所によって違憲と判断され、その後は犯罪として適用されていません。したがって、ジウンの物語は当時の制度を題材にしたものです。現在の事件にこの条文を適用することはできません。
同じような憲法問題に直面した場合は、次の点を確認してください。
- 争われている法律が自分の事件に実際に適用されるかを、訴状や起訴内容と照らして整理する。
- 過去の合憲判断だけで諦めず、社会状況の変化や新たな憲法上の論点を具体的に示し、担当裁判所に提請を申し立てる。
- 申立てが認められるか、裁判が停止するかは個別の手続によるため、刑事事件に詳しい弁護士と期限や手続を早めに確認する。




















