1――人の物語:過去の判決が、ある日から違って見えた

2004年8月、キム・ジウンは姦通の疑いで起訴された。2008年2月、第一審は有罪判決を言い渡したが、ジウンはその時点ではまだ上訴を続けていた。判決が確定したのは、2009年8月20日だった。

その間の2008年10月、韓国の憲法裁判所は姦通罪を合憲と判断していた。ところが2015年2月、同じ罪について今度は違憲と判断する。ジウンにとって、行為から10年以上が過ぎて初めて、自分の有罪判決の根拠となった法律が憲法に反するとされたのだ。

では、行為そのものが合憲判断より前に起きていたジウンにも、再審への道は残されているのだろうか。焦点は、行為の日付だけでなく、有罪判決がいつ確定したかにある。

2――法的な問い

犯罪行為は以前の合憲判断より前に行われたが、有罪判決はその後に確定した場合、違憲とされた刑罰法規を根拠とする判決として再審を請求できるのか。

3――韓国法の定め

韓国の憲法裁判所法第47条は、法律が違憲と判断された場合の効力と、確定判決をやり直すための道筋を定めている。

違憲と決定された法律は、原則として決定の日から効力を失う。ただし、刑罰に関する法律については、原則として過去にさかのぼって効力を失う。以前にその法律を合憲とする決定があった場合は、その決定の翌日から効力を失う。 >その法律を適用した有罪の確定判決については、再審を請求できる。

つまり、刑罰法規に違憲判断が出ても、以前の合憲判断があれば、効力が失われる時点はその合憲判断の翌日となる。この境界を踏まえて、再審の可否を考える必要がある。

判断の要点は次のとおりだ。

  1. その有罪判決が、違憲とされた法律を適用したものか。
  2. 以前に合憲判断があった場合、その翌日より後に有罪判決が言い渡され、確定したか。
  3. 犯罪行為の日がその翌日より前であっても、判決が法律の効力を失った後に確定したなら、再審の対象となり得る。

4――韓国の裁判所はどう考えるか

韓国の最高裁判所は、再審の対象となる判決を、違憲判断によって過去にさかのぼって効力を失う法律を適用した有罪確定判決と捉えている。過去の合憲判断がある場合には、その判断の翌日より後に有罪判決が言い渡され、確定したかどうかが鍵となる。

犯罪行為が合憲判断より前に行われたとしても、有罪判決が法律の効力を失う時点より後に言い渡されて確定したなら、再審を請求できる場合がある。

この考え方では、行為の日と判決の日を混同してはならない。違憲判断によって法律の効力が失われた時点より前の行為であっても、その後に法律を適用した有罪判決が確定していれば、再審の対象となり得る。最高裁判所も2016年の判断で、この考え方を示した。

5――ジウンの事件に当てはめる

ジウンの事件を、日付を追って検討しよう。

  1. 行為と起訴:姦通行為があったとされたのは2004年8月。姦通罪について合憲判断が出る前のことだった。
  2. 合憲判断と効力の境界:憲法裁判所は2008年10月30日に姦通罪を合憲と判断した。その後、2015年2月26日に違憲判断をしたため、刑罰法規に関する特例により、姦通罪は2008年10月30日の翌日から効力を失う扱いとなる。
  3. 判決の確定:ジウンの有罪判決が確定したのは2009年8月20日。効力を失う時点より後である。
  4. 再審の可否:確定判決は、後に違憲とされた姦通罪を適用したものだ。行為が2004年だったことだけを理由に、再審の対象から外れるわけではない。

したがって、ジウンは再審を請求できる。再審で違憲とされた姦通罪を根拠とする有罪判決が見直されれば、無罪判決が言い渡される見込みだ。

6――結論:ジウンの判決と、同じ状況にいる人への助言

ジウンの有罪判決は、再審を求めることのできる判決に当たる。決め手は、姦通行為がいつあったかではなく、違憲判断に伴って法律の効力が失われる時点より後に有罪判決が確定していたことだ。彼女は再審を請求でき、事件の前提となった犯罪規定が違憲とされた以上、無罪となることが見込まれる。

同じような事情がある人は、次の点を確認してほしい。

  • 判決の確定日と、違憲判断の前に合憲判断があったかを確認する。合憲判断があると、法律の効力が失われる時点の計算が変わる。
  • 判決書や確定証明など、事件の日付と適用された法律を確かめられる書類をそろえる。
  • 再審の申立先や必要書類は事件の内容によって異なるため、韓国の刑事事件に詳しい弁護士に早めに相談する。
行為が法律の効力を失う時点より前だったとしても、それだけで再審の可能性がなくなるとは限らない。行為の日、合憲判断の日、判決の確定日を分けて確認することが重要だ。