職場パワハラ119(직장갑질119)は2026年10月4日、不当解雇に関する相談事例207件を分析した報告書「不当解雇10カ条」を発表した。このうち、辞職の強要・退職への誘導は115件で55.6%を占め、暴言・人格攻撃・業務からの排除などによって、労働者が自ら職場を去るよう仕向けるタイプは74件だった。一方、労働委員会(노동위원회)に申し立てられた不当解雇事件のうち、却下された事例を見ると、半数以上が事業所の規模に関係していた。

背景と経緯

この報告書が示す問題は、解雇が常に解雇通知という形で行われるわけではないという点だ。退職を迫ったり、職場で働き続けるのが難しい状況を作って辞職に追い込んだりする方法も、相談事例で大きな割合を占めた。職場パワハラ119の労務士、パク・ウナ氏は、辞職の強要や退職への誘導は間接的な解雇だと説明し、転職の実質的な原因を総合的に検討すべきだと述べた。

労働委員会の資料からは、別の障壁も明らかになった。職場パワハラ119がチョン・ヘギョン進歩党(진보당)議員室を通じて入手した資料によると、2023年1月1日から2026年7月1日までに申し立てられた不当解雇事件は8万2617件、処理された事件は6万8309件だった。記事によると、処理された事件のうち不当解雇と認められた割合は9.5%で、却下された事件1700件のうち919件(54.1%)は、従業員5人未満の事業所であることが理由だった。

却下とは、事件の実質を判断する段階に至る前に、手続き上の要件などを理由として申立てを受け入れない決定を指す。したがって、却下の統計は、不当解雇かどうかが争われたうえで労働者の主張が認められなかったケースとは区別して見る必要がある。国家データ処(국가데이터처)の資料を引用した記事によると、2023年には従業員5人未満の事業所が全国の事業所の86.4%を占めた。ただし、この数字だけで個々の労働者が実際にどのような保護を受けられるかまで断定することはできない。

このニュースが意味すること

退職届があるという事実だけで、退職が自発的だったと結論づけるのは難しい。韓国法律救助公団(법률구조공단)の相談事例に基づくガイドは、退職届を提出し、依願免職(辞職の形式で退職として処理すること)を選んだ場合でも、労働者に辞職の意思がなく、使用者が事実上、一方的に労働関係を終わらせたのであれば、解雇とみなされる可能性があると説明している。辞職を勧められた経緯や、その際に予想された不利益など、具体的な事情をあわせて検討すべきということだ。

ただし、職場パワハラ119の提案と、現在適用される法的基準は区別する必要がある。職場パワハラ119は、労働者の概念と労働基準法(근로기준법)の適用範囲を拡大し、不当解雇の立証責任を使用者に負わせるべきだと求めた。これは団体による制度改善の要望であり、従業員5人未満の事業所でも不当解雇を争えるようにする法改正が実際に進められるかどうかは、記事には記されていない。

たとえば、退職を強く迫られた人がすでに退職届を提出していたとしても、圧力を受けた経緯や、退職前後の業務上の指示・会話の記録が残っていれば、その資料は辞職が自発的だったかどうかを検討する際の参考になり得る。これだけで解雇が認められると断定はできないが、退職届一枚だけでなく、退職に至るまでの過程全体を記録しておく理由となる。

関連制度・支援情報

韓国法律救助公団の相談事例に基づくガイドは、解雇には正当な理由が必要であり、解雇予告や解雇予告手当を受けたという事実が、解雇理由の正当性に代わるものではないと説明している。退職届の提出、退職金または解雇予告手当の受け取りだけを理由に、解雇を争えないと決めつけず、当時の経緯や異議を申し立てた事情を検討する必要があるとも案内している。具体的な判断は事案によって異なる。

労働委員会への救済申請を検討する場合、期限を逃さないことが重要だ。相談事例に基づくガイドは、救済申請の期限を解雇日から3カ月以内と案内する一方、実際の事件では適用される手続きと期限を確認するよう注意を促している。解雇日や退職届の提出日、関連する通知を受けた時点などを整理し、速やかに相談するのが安全だ。

また、契約書に委託・請負と記載されていたり、給与から3.3%が控除されていたりするだけで、労働者ではないと断定することはできない。労働者性(法律で保護される労働者に該当するかどうか)は契約上の名称ではなく、業務上の指揮・監督、勤務時間や場所の拘束、報酬や業務の継続性など、実際の関係を総合的に判断するというのがガイドの説明だ。職場パワハラ119が求める「偽装フリーランス」の保護にも関わる点だが、個々の労働者の地位は具体的な事実関係を踏まえて判断する必要がある。

確認された事実と、まだ分からないこと

確認された事実

  • 職場パワハラ119は、不当解雇に関する相談事例207件を分析した報告書を2026年10月4日に発表した。
  • 辞職の強要・退職への誘導は115件(55.6%)で、そのうち嫌がらせ・人格をおとしめるタイプは74件だった。
  • 2023年1月1日から2026年7月1日までに労働委員会に申し立てられた事件は8万2617件、処理された事件は6万8309件だった。
  • 却下された事件1700件のうち919件(54.1%)は、従業員5人未満の事業所であることが理由だった。
  • 職場パワハラ119は、労働者の概念と労働基準法の適用範囲の拡大、ならびに不当解雇の立証責任を使用者に負わせる措置を求めた。

まだ分からないこと

  • 従業員5人未満の事業所でも不当解雇を争えるようにする法改正が、実際に進められるかどうかは記事に記されていない。
  • 相談事例や労働委員会の事件において、業種・地域・労働者の類型ごとに違いがあるかどうかは確認されていない。
  • 相談事例で辞職を強要された労働者が実際にどのような手続きを取り、その結果がどうなったかは示されていない。

読者が確認すべきこと

  • 辞職を勧められたり、圧力を受けたりした場合は、すぐに退職届を書かず、通知や会話、業務からの排除など、退職に至った経緯を日付とともに記録しておく。職場パワハラ119も、退職届の作成には慎重になり、関連する証拠を集めて相談するよう勧めている。
  • すでに退職届を提出していても、提出に至った経緯や当時受けた圧力、退職の勧め、異議を申し立てた内容が記録に残っているか確認する。解雇予告手当や退職金を受け取ったという理由だけで、争えないと決めつけない。
  • 労働委員会への救済申請を検討する場合は、解雇日と関連書類を整理し、相談事例のガイドが案内する3カ月の期限と、実際に適用される手続きを労働相談を通じて確認する。契約書に記載された名称とは別に、業務上の指示・監督に関する資料も保管する。

参考資料